パートナーを褒めるのが苦手な時 自己対話で関係を深める方法
パートナーとの関係において、日々の小さな「褒め」や「承認」が、関係性をより豊かに、より安定したものにしていくことは多くの方が認識していることでしょう。しかし、「頭では大切だと分かっているけれど、いざ言葉にしようとすると何故か気恥ずかしい」「相手の良いところは分かっているのに、素直に伝えられない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
なぜか、褒めたり認めたりすることに抵抗を感じることはありませんか? もしそうであれば、それはあなたの内面にある、何らかの理由を示唆している可能性があります。そして、その理由に自己対話を通じて向き合うことで、苦手意識を克服し、よりスムーズで温かいコミュニケーションを築くことができるようになるかもしれません。
この記事では、パートナーを褒める・認めることが苦手だと感じる方が、自己対話を通じてその原因を探り、感情を整理し、具体的な承認のスキルを身につけるためのステップをご紹介します。
なぜ褒める・認めるのが苦手なのか?自己対話で探る内面の声
パートナーの良いところや努力を言葉で伝えたいと思っても、それがスムーズにできないのには様々な理由が考えられます。まずは自己対話を通じて、あなた自身の内面にある声に耳を傾けてみましょう。
自身に問いかけてほしい自己対話の例:
- 私はなぜ、パートナーの良い点や成果を素直に言葉にすることに抵抗を感じるのだろうか?
- 誰か(あるいはパートナー)から褒められた時、自分はどんな気持ちになっただろうか? 嬉しかった? 疑心暗鬼になった? 居心地が悪かった? その経験は今の自分にどう影響しているだろう?
- もしパートナーを褒めたら、自分自身がどうなることを恐れているのだろうか? (例:「調子に乗るのではないか」「自分が劣っていると思われるのではないか」「もっと要求されるようになるのではないか」など)
- 私にとって「褒める」「認める」とは、どのような行為だと認識しているだろうか? (例:「お世辞」「何かを期待して言うもの」「特別な時にだけするもの」など)
- 完璧ではない相手を褒めることに、矛盾や抵抗を感じることはあるか?
これらの問いかけを通じて、あなたの「褒める・認めるのが苦手」という感覚が、過去の経験や、自己肯定感、承認に対する独自の価値観、あるいはパートナーシップに対する無自覚な期待などと結びついている可能性が見えてくるかもしれません。
自己対話で感情を整理し、新しい視点を持つ
自己対話によって苦手意識の背景にある感情や思考パターンが見えてきたら、次にそれらを整理し、より建設的な視点を持つための自己対話に進みましょう。
感情整理・視点転換のための自己対話例:
- 苦手意識や抵抗感といった自分の感情を、否定せずそのまま受け止めよう。これは「悪いこと」ではなく、自分自身を知るための手がかりだと考えられるだろうか?
- 「褒める」「認める」という行為の本来の目的は何だろうか? それは相手を操作することではなく、相手の存在や努力を尊重し、感謝や好意を伝えることではないだろうか?
- パートナーの良い点を探そうとしたとき、どんな点に目が行くだろうか? それは必ずしも「素晴らしい成果」ではなく、「日々の小さな気遣い」「誠実さ」「ユーモアのセンス」といったものでも良い。
- もし、これらの「良い点」や「感謝」の気持ちを素直に言葉にできたとしたら、パートナーとの関係はどのように変化する可能性があるだろうか? ポジティブな変化を想像してみよう。
- 完璧でなくても、相手の努力や意図を「認める」ことから始めるのはどうだろうか? 「すごいね」ではなく、「頑張ったね」「ありがとう」「助かるよ」といった言葉から試せるだろうか?
これらの自己対話を通じて、承認することへの抵抗感を和らげ、その行為に対するより前向きで現実的な捉え方ができるようになることを目指します。承認は、大袈裟な「褒め」だけでなく、日々の感謝や労い、共感といった形で多様に表現できることを理解することも大切です。
承認を伝える具体的なステップと自己対話による実践
内面の整理が進んだら、実際にパートナーに承認を伝えるための具体的なステップを考え、実践に移してみましょう。ここでも自己対話が効果的なサポートとなります。
実践のための自己対話とステップ:
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小さなことから始める: まずはハードルの低い言葉から試してみましょう。「今日の料理美味しかったよ、ありがとう」「頼んだこと、すぐにやってくれて助かるよ」といった、感謝や具体的な行動に対する言葉から始めます。
- 自己対話: 「今日は、パートナーのどんな小さな行動に感謝の気持ちを持てたか? その気持ちを伝える言葉は、どんなものなら抵抗なく言えそうか?」
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具体的に伝える: 抽象的な「すごいね」よりも、「〇〇(具体的な行動)をしてくれたから、とても助かったよ」のように、何が、どのように良かったのかを具体的に伝えると、相手に気持ちが届きやすくなります。
- 自己対話: 「パートナーのどんな行動や性質について『良いな』と感じたか? その『良さ』を具体的に表現するには、どのような言葉が適切か?」
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タイミングを選ぶ: 相手が落ち着いていたり、話を聞ける状態であったりする時に伝える方が、気持ちは伝わりやすくなります。
- 自己対話: 「今日一日の中で、パートナーに感謝や承認の気持ちを伝えるのに適したタイミングはいつだろうか?」
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非言語コミュニケーションも意識する: 言葉だけでなく、優しい表情やアイコンタクト、相槌なども承認の気持ちを伝える大切な要素です。
- 自己対話: 「言葉にするのが難しい場合、笑顔や頷きでパートナーへの肯定的な気持ちを示すことから始められるだろうか?」
実践してみた後も、自己対話を続けてみましょう。相手の反応が期待通りでなかったとしても、それはあなたの言葉が失敗だったわけではありません。言葉にしたというあなたの行動自体が価値ある一歩です。
- 自己対話: 「言葉にした後、自分はどんな気持ちになったか?」「相手の反応は自分の期待とどう違ったか?」「相手の反応は、相手自身の内面や状況を反映したものであり、自分の価値を否定するものではないと理解できるだろうか?」
まとめ
パートナーを褒める・認めることが苦手だと感じることは、決してあなただけではありません。その背景には、様々な内面的な要因が隠されていることが多くあります。自己対話を通じてそれらの要因に丁寧に向き合い、感情を整理し、承認という行為に対する新しい視点を持つことで、苦手意識は少しずつ和らいでいく可能性があります。
そして、承認の表現は特別なことでなく、日々の感謝や労い、共感といった形で様々な伝え方があることを知り、まずは小さな一歩から実践してみることが大切です。自己対話を通じて、あなた自身の内面と、パートナーとの関係性の両方を育んでいくことができるでしょう。そうすることで、二人の関係はより信頼に満ちた、温かいものへと深まっていくはずです。